【決算書|第4回】

利益率から損益計算書を分析する

このところの災害やコロナウィルス感染症により、補助金、助成金、協力金、支援金、給付金など、国や地方自治体から事業者に対して、原則返済不要なお金を支給する制度が拡充されています。煩雑な申請が簡素化されつつあり、すでに申請された会社、受給された個人の方は多くいらっしゃると思います。

実際に受給された際に、素朴な疑問を持たれた方は多いのではないでしょうか?

  • この給付金はどこに計上するのか?
  • 給付金に対して税金はかかるのか?

突発的、臨時的に生じた特別利益、特別損失とは何かを理解するところからスタートしましょう。

今期に限り特別に発生した利益、損失を「特別利益」「特別損失」として計上する

数字を使えるビジネスパーソンに!

今期に限り発生した利益、今期に限り発生した損失は、それぞれ「特別利益」「特別損失」として計上されます。「特別」と命名されているだけあって、まさに今期だけ、1回限り、という意味合いのものです。

日々の業務から発生するものでは無く、突発的、臨時的に生じた事案のため、損益計算書を分析する際はあまりフォーカスされません。但し、金額が余りにも不自然に計上されている場合には、その原因を特定し、注視する必要があります。

特別利益として計上される事例

  • 固定資産売却益
  • 貸倒引当金戻入益
  • 保険差益
  • 株式売却益 など

特別損失として計上される事例

  • 固定資産売却損
  • 固定資産除去損
  • 固定資産廃棄損
  • 火災損失
  • 特別退職金 など

税金を払う一歩手前の利益「税引前当期純利益」から、法人税、住民税、事業税を納税する

納税は国民の義務!

売上高から本業ならびに本業以外でかかったすべての費用を控除した後の利益を、「税引前当期純利益(または純損失)」といいます。その後、法人税、住民税および事業税を納めて、当期純利益が計上される構造です。

法人税

法人税は国税と呼ばれるもので、国に対して納める税金です。

法人の所得金額に対して課され、平成31年4月1日現在の法令等では、法人区分、開始事業年度、年間所得により適用される税率は異なっており、最低15%から最高23.2%の間で設定されています。

■ 住民税および事業税

住民税及び事業税は地方税と呼ばれるもので、地方自治体に納める税金です。

住民税は、道府県民税(道府県が個人及び法人に課税)と市町村民税(市町村が個人及び法人に課税)を合わせたもので、道府県民税、市町村民税、ともに法人税割、均等割という計算方法により算出されます。

事業税は、法人や個人が行う事業に対して課される税金で、所得割、付加価値割(外形標準課税)、資本割(外形標準課税)という計算方法により算出されます。

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一年間の合否はいかに?!「当期純利益」から読み解けるものとは

一年間の活動を経て、果たして黒字であったか、赤字であったか、その結果は当期純利益として表されます。

手元に残る利益があれば、それを原資として将来の成長、拡大のために使うべきか、それとも将来への備えとして残すべきか、ステークホルダーが納得する経営判断が求められます。

尚、当期純利益は節税対策により、その金額には恣意性が入る余地があります。また、当期純損失であっても、意図的により大幅な赤字を計上する企業も存在します。

当期純利益を分析する際には、恣意性を排除した金額をベースに比較、評価するようにしましょう。

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成長しているか、儲かっているか、損益計算書の分析は2種類のアプローチで

損益計算書の分析は、2種類のアプローチで行うことが一般的です。自社の過去の業績、同業他社の業績や業界平均と比較することで、自社の優位性、または劣位性を確認します。

■ 成長しているか?

売上高、利益が毎年プラスで推移しているかに注目してください。同業他社より成長率が高く、自社の過去を上回っていれば尚良しです。

成長率の計算方法

  • 伸び率の計算方法|(今期-前期)÷前期×100
  • 前年比の計算方法|(今期÷前期)×100

■ 儲かっているか?

利益率が毎年アップしているかに注目してください。こちらも、同業他社より利益率が高く、自社の過去を上回っていれば尚良しです。利益率の計算式は分母がすべて売上高である、と覚えておくと、素早く計算することができるでしょう。

利益率の計算方法

  • 売上総利益率|売上総利益÷売上高×100
  • 営業利益率|営業利益÷売上高×100
  • 経常利益率|経常利益÷売上高×100
  • 当期純利益率|当期純利益÷売上高×100

日々の働きが会社に貢献しているのかを数字で把握できれば、おのずと時間の使い方、働き方は変わってくると思います。

組織運営、人材育成の際に「利益率」をKPIとして活用するなど、日常業務に数字の要素を組み込んでみてはいかがでしょうか?

【アーカイブ|決算書】

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