【タイムマネジメント|第2回】

数値を使ったタイムマネジメントを!

先日、テレビのニュース番組にて「タイムマネジメントで業務の効率化を図るための取り組み」が取り上げられていました。その中で2つの取り組みが紹介されていました。

  • 毎朝、決まった時間に、今日一日のToDoをチームメンバーにメールで共有する
  • リーダーは、チームメンバーに課している業務の配分を毎日見直す

この2つの行動で本当に業務の効率化は図れているのか、素朴な疑問が湧いてしまうのは私だけでしょうか?

情報共有は必要なことですから、取り組みとしてはアリなのかもしれません。但し、なぜそのような行動を取るのか、目的の共有、報連相の徹底など、事前の準備と心構えは必須です。

これらを怠ると行動の意義が曖昧になり、期待効果を得ることはできません。逆に、貴重な時間を搾取することになってしまいます。

限られた資源で最大のリターンを得るために、タイムマネジメントによる作業の効率化は極めて重要な取り組みです。

タイムマネジメント、まず初めに取り組むこと

タイムマネジメントを進めていく上で、まず初めに取り組まなければならないことは、期限、期日は必ず守らなければならないという意識、約束を、全社で共有し徹底することです。場合によっては、規則、ルール、人事評価を用いて「時間を守る意識」を醸成するなど、タイムマネジメントを円滑に実施できる環境を整備することも必要だと思います。

また、組織やチームのリーダーがタイムマネジメントを実践しなければ、そこに連なるメンバーがタイムマネジメントを実践するインセンティブは働きません。

リーダーは自責で考えて、何事も率先して行動する意識と活動を継続することが重要なのです。

リーダーのあり方を考える

■ リーダーの役割

リーダーは、与えられた権限、業務の範囲、使える経営資源など、自身の置かれた環境を基盤として、組織をリードしなければならない立場にあります。

適材適所、役割分担、信賞必罰、業務効率化など、できない、伝わらない、伝えられないでは終わらせずに、自分なりのタイムマネジメントを駆使して、粘り強く取り組むことが求められます。

■ メンバーの役割

リーダーに連なるメンバーは、リーダーを積極的にフォローし、自ら能動的に仕事に取り組むことが求められます。何がやる気スイッチなのかを自己分析して、向上心、知的欲求、新しいことに挑戦する意欲など、自分自身で醸成できるかどうかが重要なポイントです。

会社やリーダーに求めるばかりでなく、自分に貢献できることは何があるか、それぞれの立場、業務に応じて考えてみましょう。考える、実践することによって自身の強み、弱み、特徴が表面化され、成長の方向性を明確にすることができるでしょう。

  • 強みを伸ばすのか?
  • 弱みを補完するのか?

自身を成長させるチャンスとして、タイムマネジメントからのアプローチを活用してみてください。

スケジュールを設計するノウハウ、ツールを考える

スケジュール通りが一番!

社内でタイムマネジメントの必要性を共有できれば、次に具体的な進め方についての話ができるようになります。前回の記事にも書きましたが、タイムマネジメントを構成する2つの力、スケジュールを設計する力、スケジュール通りにやりきる力を改めて定義しましょう。

■ スケジュールを設計する力

  • 仕事、業務、プロジェクトの全体像を把握する
  • 期限までにアウトプットを提示できるよう、必要最小限の作業に落とし込む
  • 重複なく、順序良く、時系列に並べる

これらの行動を支える要素は、環境の把握、使える経営資源の把握、自身とメンバーのスキルの把握、顧客ニーズの理解、コスト管理、利益管理、関係各所との交渉などが挙げられます。

その量に過不足はないか、その質は適切かを検証しましょう。

■ スケジュール通りにやりきる力

  • 各作業、各仕事、各業務のでき上がりの基準を正確に理解する
  • 知識、経験、人脈をフル活用する
  • 有事にも臨機応変に対応する準備、心構えを備える

これらの行動を支える要素は、モチベーションスイッチの把握、アメとムチの提示、進捗状況の見える化、メンバー間の相性、リーダーシップとフォロアーシップの醸成、工数管理などが挙げられます。

その量に過不足はないか、その質は適切かを検証しましょう。

この2つの力を存分に発揮するためには、仕組みやノウハウの共有、最適なツールの導入など、会社全体で環境整備を進めなければなりません。現場任せ、個人任せにならないように、タイムマネジメントを支援する施策を適宜講じられるかもポイントです。

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客観的数値をもとに、使える時間を計算する

自身を雇用するために会社が負担しているコストは幾らか、計算したことはありますか?

年収の3倍は稼げ!とはよく言われていますが、その言葉の通り自分を雇用するコスト以上の稼ぎを生み出さなければ、会社に利益は残りません。利益を生み出さなければ人材としての価値が問われることになり、会社としてもそのような人材を雇用する意味が無くなってしまいます。

■ 一時間当たりのコストを計算する

  • 自身を雇用するために必要な1年間のコスト(会社が負担しているコストも含む)
  • 自身が仕事に費やしている1年間の合計時間

この2つを計算できると、自身を雇用するために必要な「1時間当たりのコスト」を計算することができます。職場までの通勤時間、昼食時間、休憩時間までも加えると、平日の大半は仕事に占有されていることが分かります。

■ 使える時間を計算する

各業務、各プロジェクトの目標利益率(または、目標利益額)と「1時間当たりのコスト」をもとに、「仕事に使える時間」を計算してみましょう。 目標となる基準が定まっていれば、その目標達成のために「使える時間」を計算することができます。

時は金なり!

目標を達成できない場合、使える時間が少ない場合には、その原因を究明して繰り返さないための対策を講じなければなりません。

  • 自身の働きは、どれだけ会社の利益に貢献していますか?
  • 感覚ではなく、客観的なデータをもとに理解して行動できていますか?

自責で解決できるものは善処し改善する、相手がいるものは相手のメリットも考えて交渉することが大切です。

時間は有限であり、限られた時間をどのように設計できるかがリーダーの腕の見せどころとなるでしょう。会社側からも、利益を生むための判断基準、行動基準を提示できれば尚良しです。

■ 使える時間の計算式 : ① ≦ ② ÷ ③

① 目標利益率

  • 何%を目指すか、何%に設定するか、客観性、実現性、納得性を有した目標を設定する

② 利益 [計算式]売上高 or 受注高 -(売上高 or 受注高に関わる直接コスト + 人件費 + 間接コスト)

  • 人件費とは「1時間当たりのコスト×工数」で、工数の変動が人件費に影響を与えます
  • 目標利益率を達成するために使える工数はどの程度あるのか、計算することができます

③ 売上高 or 受注高

  • 幾らで売るか、幾らで受注するか、より大きな金額ほど目標利益率の達成に貢献します

コンフリクトを恐れず、スケジュール通りにやりきる

コミュニケーションが円滑になり、意見交換が活発になればなるほど、意見の食い違いや対立、コンフリクト(軋轢)が生じてしまうのが世の常です。コンフリクトは、組織が結束して協調性を高めるためには通過しなければならない一つのステップであると認識しましょう。

原因を突き止めて上手に対処できれば、全体のレベルアップに繋げることができるでしょう。

■ コンフリクトの主な原因

  • 選択的認知 受け手の関心や期待によって、受け手の都合によって誤って解釈されてしまう
  • 文化的差異 言語、習慣、ジェスチャーの違いによって、誤ったメッセージになってしまう
  • フィルタリング 意図的に、恣意的に情報を操作して、都合よく情報を加工してしまう

コンフリクトはどうしてもマイナス面が強調されてしまいます。それを避ける選択、行動を取ってしまいがちですが、組織のレベルアップに必要不可欠なプロセスとして認識し、しっかりと向き合い、対処してください。

尚、コンフリクトのメリット、及びプラス面としては、以下の点が挙げられます。

  • 自分の考えを明確にできる
  • アイデアを発展できる
  • 相手の理解が進む
  • 新たな視点や本質的な問題を発見できる など

コンフリクトが起きたら原因を分析し、解決に向けた取り組みを進めましょう。ツールの活用、ルールの設定など、メンバーの性格も考慮して上手に交渉、制御、対峙できれば、より結束した基盤が構築できるでしょう。

タイムマネジメントの目的を明確に

時間は貴重な経営資源!

タスク管理ツール、コミュニケーションツールは次から次へと便利なモノが開発されています。どれも使い勝手がよく、何を使うか悩むところです。しかしながら、タイムマネジメントを取り組むために、手法やツールをやみくもに導入すればよいという訳ではありません。

  • なぜタイムマネジメントが必要とされているのか?
  • どれくらいの時間を短縮させ、どの業務に時間を充てることが有意義なのか?

意識的な側面と、客観的数値からの側面から業務や人的配分を見直し、限りある時間を無駄なく投下していく必要があります。

タイムマネジメントスキルの向上は、その必要性と客観的数値をもとにした「使える時間の考え方」を、人材育成、人材教育の中でインプットさせていくことが、最も有意義なアプローチだと思います。

周囲の理解と共感が得られれば、どんな手法、ツールを取り入れても、タイムマネジメントの精度は加速度的に向上していくでしょう。

【アーカイブ|タイムマネジメント】

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