SWOT分析で経営の現状を分析する

経営分析 第2回

  1. 現状を知り課題を抽出するために、外部環境、内部環境の順番で分析する
  2. 政治、経済、社会、技術の4つのマクロ環境要因を分析する
  3. 会社が属する業界の魅力、その業界に働く力学を分析する
  4. 自社の持つ経営資源は7つ、人、物、金、情報、時間、知的財産、意欲を分析する
  5. 外部環境分析、内部環境分析をSWOT分析に反映する

■ 経営分析 ARCHIVE

1.現状を知り課題を抽出するために、外部環境、内部環境の順番で分析する

過去を振り返り、現状を踏まえて、未来を創造していく。

上手に経営できている会社は、この繰り返しを極めてスムーズに実施しています。過去の反省を糧にして未来に生かせるか、まずは足元の状況がどうなっているのかを正確に把握することからスタートです。

分析の順番は、外部環境分析の後に内部環境分析を実施するのが一般的です。外部環境の分析は、PEST分析、5フォースを。内部環境の分析は、7つの経営資源が代表的なフレームワークとして使用されています。

本稿は、PEST分析、5フォース、7つの経営資源の3つに焦点を当てて、その結果がSWOT分析に反映されるまでをご紹介します。数あるフレームワークの中でも使い勝手が良く、未来を創造するために必要な情報の収集、整理、分析に、ぜひ活用してみてください。

2.政治、経済、社会、技術の4つのマクロ環境要因を分析する

PEST分析を通じて、会社を取り巻くマクロ経済環境を把握していきましょう。PESTのネーミングは、政治、経済、社会、技術の英単語の頭文字を取って命名されました。

[PEST分析]

政治 Politics

ビジネスを規制する法律、条例、許認可、税制や国内外の政治情勢などを分析、検証する

■ 経済 Economy

景気動向、所得水準、為替動向、金利推移などを分析、検証する

■ 社会 Society

人口動態、価値観、ライフスタイル、女性の社会進出などを分析、検証する

■ 技術 Technology

研究開発、生産技術、AI・IOT、ビックデータの活用などを分析、検証する

PEST分析の結果、現在の外部環境はチャンスであるか(機会、追い風)、ピンチ(脅威、逆風)であるかを判断しましょう。

追い風であればその風に乗れているか、逆風であればその風をかわせているか、その検証まで行うことができれば尚良しです。 現状認識を深めておくことで、今後急激な環境変化が起こった際に、積極的な行動を取ることができるでしょう。

尚、PEST分析に取り組む際のポイントは、以下の3つです。

  • 個々の分析項目を掘り下げて、現状を把握すること
  • 4項目の関連性を見て、マクロ環境の全体構造を把握すること
  • 3年後~5年後の世の中を想像して、中長期的なマクロ環境を予測すること

3.会社が属する業界の魅力、その業界に働く力学を分析する

5フォースとは、自社が属する業界の魅力度、その業界に働く特有な力学を分析するフレームワークで、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーターが提唱しました。

業界の魅力(収益性)を決める5つの競争要因を分析して、当該業界の利益の積み上げやすさ、業界内の利益をどれだけ自社に集めることができるかを導き出すことを目的としています。

チャンスを掴めるか?!ピンチを脱せられるか?!

[5フォース]

買い手の交渉力

買い手とは、販売先の会社、消費者のことを表します。販売先が力を持っていれば、価格交渉は厳しくなる(≒買い手に交渉力あり)となります。よって、買い手の交渉力の分析では、当該業界における売上の上げやすさを把握することができます。

■ 売り手の交渉力

売り手とは、部品や材料を供給してもらう供給元の会社・業界のことを表します。供給元に独占者または寡占者が存在する場合には、言い値で調達せざるを得なくなり、売り手に交渉力ありとなります。よって、売り手の交渉力の分析では、当該業界の費用の下げやすさを把握することができます。

■ 業界内の競争

ライバル会社との競合のことを表します。業界内競争が激しいほど価格競争に陥ってしまい、自社の取り分は少なくなってしまいます。

■ 新規参入の脅威

その業界の新規参入のし易さ(難易度)を表します。当該業界に魅力があれば、そこに参入したいと考える会社は増えますが、新規参入が増えるほど、それぞれの取り分は減少することになります。

すでに業界内にいる会社にとって、魅力ある業界をブルーオーシャンとして残すためには高い参入障壁を設けたいと考えるのがセオリーです。参入障壁の構築は、重要な戦略の一つとなります。

■ 代替品の脅威

自社の商品・サービスとは異なるものの、価値においては同等の商品・サービスのことを表します。業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威の3つの分析により、業界全体の利益はどのように分配されるのか、自社の取り分は増えやすい傾向(または減りやすい傾向)にあるのかを、把握することができます。

5フォースの結果をもとに、現在置かれているポジションはチャンス(追い風)であるか、ピンチ(逆風)であるかを判断しましょう。5つの競争要因のうち、どこを攻略すれば利益を出せるかまでの仮説を立てることができれば、尚良しです。

4.ヒト、モノ、カネ、情報、時間、知的財産、そして意欲を分析する

一昔前までは、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つが代表的な経営資源として認識されていましたが、その後のインターネットの発達やビックデータの活用、M&Aの浸透などにより「情報」「時間」が加わりました。

また、知的財産の質と量、AI、IOT、人のモチベーションが重要視されるようになり、「知的財産」「意欲」も経営資源として加えられました。いずれも、会社を成長、拡大させていくための重要な要素として、現在は広く認識されています。

内部環境の分析は、この「7つの経営資源」を使います。7つそれぞれについて、自社が誇れる他社にはない強みなのか、他社より劣る弱みなのかを判断していきましょう。

[7つの経営資源]

■ ヒト

社員数、平均勤続年数、平均年齢、保有資格、採用・評価基準、人材育成への取り組み など

■ モノ

機械、設備、ソフトウェア、商品・サービス など

■ カネ

キャッシュフロー、資金調達コスト、コミットメントライン枠 など

■ 情報

情報の質、情報の量、整理する力、分析する力、活用する力 など

■ 時間

採算性、効率性、時間単価、残業時間、有休消化率 など

■ 知的財産

特許権、商標権、ブランド力、ビッグデータ など

■ 意欲

仕事に取り組む姿勢、考える力、行動力、集中力、向上心 など

5.外部環境分析、内部環境分析をSWOT分析に反映する

SWOT分析とは、自社を中心とした外部環境要因(自社ではコントロールできない要因)、内部環境要因(自社でコントロールできる要因)を分析して、今後の戦略の方向性を導き出すフレームワークです。

SWOTのネーミングは、強み、弱み、機会、脅威の英単語の頭文字を取って命名されました。

  • 強み  Strength
  • 弱み  Weakness
  • 機会  Opportunity
  • 脅威  Threat

すでにPEST分析、5フォースにて外部環境要因を把握し、7つの経営資源にて内部環境要因を把握していますので、これらの分析結果をSWOT分析に反映することができます。分析結果を踏まえて、市場機会の確認、課題抽出、機能強化を進めていく流れとなります。

SWOT分析が面白いのは、一つの事実、情報、事象でも、人によって見方、感じ方、認識が異なることです。複数人でSWOT分析を行う場合は、まずはさまざまな解釈、見方で意見を出し合い、議論を尽くした後に、一つの回答、方向性に絞り込んでいきましょう。

人それぞれ考え方は異なりますので、全員の見解を一致させるまでには相当な時間とエネルギーが必要です。ただ、会社の方向性を導き出すためには必要な作業であり、今現在の会社を知る有意義な機会となるでしょう。

   

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