M&Aのプロセス、ポイント、活用法を押さえて、目標達成のための手段として活用する

M&A 第2回
- M&Aは目標達成のための一つの手段
- M&Aのプロセスを知る
- M&Aアドバイザーを選定する
- 仲介型アドバイザーと代理型アドバイザーの違い
- アドバイザーの頑張りが、M&Aの成否を分ける
■ ARCHIVE
1.M&Aは目標達成のための一つの手段
なぜ、M&Aに取り組むのか?
数多くある行動、手段の中で、M&Aに取り組む。そこには何がしかの理由は必ずあるはずです。軸となる考え方、将来への展望、M&Aを取らざるを得ない原因について、しっかりと理解されているかを確認するために、M&Aのご相談を受けた際には必ずお聞きしています。
経営者は、設備投資、業務改善、研究開発、商品開発、海外展開、人材育成、販路拡大、リストラなど、会社の成長と拡大に繋がる数ある施策の中から、今取り組むべき最善のものを選択しなければなりません。
M&Aはあくまで手段の一つであり、M&Aを選択するからには、第三者も納得する理由が必要です。

- 最大限の効果、リターンを得るには、どの手段を用いて、何から取り組むべきか?
- 限りある経営資源をより効率的に活用するには、いつ、どこに、どれだけ配賦すべきか?
M&Aは目標達成の一つの手段であることを、忘れないようにしましょう。
2.M&Aのプロセスを知る
M&Aのプロセスは、企業規模、業種業界に関係なく同一です。ステップは大きく7つあり、各ステップを踏まえてクロージングを迎えます。交渉を開始してから資金決済まで、円滑に進んだとしても半年程度は時間を要すると考えておきましょう。

■ クロージングまでのステップ
- ステップ1 情報収集
- ステップ2 交渉開始
- ステップ3 トップ面談
- ステップ4 基本合意
- ステップ5 買収監査
- ステップ6 契約締結
- ステップ7 資金決済
ニュースなどでM&Aの発表を耳にする機会は多くありますが、これはクロージングに近いタイミングでの発表です。逆に、あまりに早く世の中に知られてしまうのは、何がしかの意図を持ったリークであると考えられます。
まずは情報収集からスタートです。譲渡案件情報、買収案件情報を持っている先にコンタクトを取ることから始めましょう。
3.M&Aアドバイザーを選定する
M&A業務を行う会社は、M&Aアドバイザリー会社と呼ばれています。日々新しい情報を更新し、企業のマッチングを行っています。
■ M&Aアドバイザリー業務を行う代表的な会社
- 銀行
- 証券会社
- 税理士事務所
- 公認会計士事務所
- M&A専業ブティック
- 経営コンサルティング会社 など

M&Aでは、案件情報を提供する会社がそのままM&Aアドバイザーとして起用されるケースがほとんどです。日頃から広範なネットワークを築き、さまざまな情報に触れることも大切ですが、信頼できるアドバイザーを見つけておくことも大切です。
適宜、適切な進言と、時に苦言を呈するアドバイザーが身近にいるかどうかが、M&Aの成否を分けると言っても過言ではありません。
4.仲介型アドバイザーと代理型アドバイザーの違い
■ 仲介型アドバイザーとは
売り手、買い手、両方に助言を行う立ち位置で、M&Aに関与します。売り手と買い手の間に関係者が多く入らないため、相手の顔が見えやすく、クロージングまでのスピードを重視したい際に採用されます。
一方で、仲介型アドバイザーは双方の情報を一手に握っているため、都合の悪い情報が秘匿される可能性があります。利益相反の懸念も指摘されており、クライアント側は情報の非対称性に気を付けなければなりません。
■ 代理型アドバイザーとは
売り手、買い手、どちらかの助言を行う立ち位置で、M&Aに関与します。代理型アドバイザーはクライアントが希望する条件を極力反映させるインセンティブが働くため、より強力に相手方と交渉していくことになります。
一方で、間に関係が多く入るため、意思疎通に時間がかかってしまいます。
5.アドバイザーの頑張りが、M&Aの成否を分ける

アドバイザリー会社は、案件をクロージングさせなければ売上(成功報酬)を得ることができません。となると、多少無理してでもクロージングさせたいバイアスがかかるのは必然でもあります。
- 本当に必要なM&Aか?
- 目的に合致したM&Aか?
- 取引条件に無理はないか?
時に厳しい意見や撤退を進言するアドバイザーは、とても貴重な存在です。フェアネスオピニオンを徹底する姿勢、感情のコントロールが上手なアドバイザーを見つけて、セカンドオピニオンとして身近に置いておくようにしましょう。