栗原宗利×迫大輔|社内でインフルエンサーが出てくる環境を整える
【BIZ対談|第3回】
- 組織の中で学ぶ姿勢、気付く姿勢を醸成するには、自ら学ぶ人、気付く人をインフルエンサーのポジションに
- 考える力、数字で表現する力を備えて、これからの環境で勝負する
- 直観力の鍛え方にマニュアルは無い!組織のリーダー、そしてこれからの人材に求められる直観力とは
- 今回のBIZ対談のメッセージ
組織の中で学ぶ姿勢、気付く姿勢を醸成するには、自ら学ぶ人、気付く人をインフルエンサーのポジションに
迫 もう一つ、ぜひ伺いたいことがあります。ビズハウスでは人材育成を研修という手段を使って支援していますが、研修という場を企業が設定しても、その場にいるだけ、時間が過ぎるのを待ってるだけでは何も効果がありません。積極的に、能動的に学ぶ姿勢、気付く姿勢が無ければ、一人ひとりの成長はないものと感じています。
もちろん、研修中にこういったメッセージは発信しているのですが、研修以外の場でもそのような姿勢は継続して欲しいと考えています。学ぶ意欲、気付く意欲は、どうしたら醸成されると思いますか?
栗原 学ぶ人、気付く人をインフルエンサーとなるようにお膳立てをする、ポジションを与える。そして、そういう人を中心に一緒に働く環境を整えることではないでしょうか。インフルエンサーの近くに人員を配置して、そうなりたいと思う人を地道に増やしていくことが重要だと思います。効果が表れるまでにある程度の時間が必要なのは、致し方なしです。
成功する人は成功する人の近くにいて、成功者の考え方が身につく、有意義なネットワークが広がる。
勉強しろと言われても必要性を感じなければ勉強しないですからね。勉強している人の近くにいることで気付き、変わる、変われる。そういうことなのだと思います。
迫 私は、インプットが無ければアウトプットはできない、と考えています。新規事業開発、経営計画の立案、緊急事態への対応など、これまで通りでは進まないことに取り組む際、新しいことを創造する際には、想像力が豊かでなければ途端に窮してしまいます。
想像力の源は、インプットの質と量で決まる。言い換えれば、学ぶ意欲、気付く意欲が乏しい人は、新しい何がしかを創造すること、緊急事態に対して臨機応変に対応することは難しいと思います。
栗原 それは、人間力の高め方にも繋がるものかもしれないですね。人それぞれ、自分なりの自己研鑽に取り組まれていると思いますが、私は人と会う、本を読む、旅に出る、この3つのアプローチが人間力と想像力を高めると信じて、取り組んでいます。
人と会う、本を読む、旅に出る、という言葉は、とある有名な経営者の方が仰っていたことなのですが、とても胸に響いて、大切にしています。特に今は人と会うこと、旅に出ることが難しい時期ですからね。本を読んで、自分磨きに勤しんでいます。
迫 人と会う、本を読む、旅に出る。とても共感できますし、韻も踏んでいて素敵ですね。この3つはインプットの手段ですが、年齢に関係なく、仕事に関することでも、趣味に関することでも、インプットは継続していくべきですね。
学生時代がインプット、社会人はアウトプット、と考えている方が多いように感じています。社会人生活は50年近くある訳で、50年間アウトプットを続けるための原資が10数年の学生時代のインプットでは、質、量、ともに乏しすぎますよね。
栗原 日本でもリカレント教育が流行り始めました。学び直したいというニーズは、一定程度あるものと思います。大学などの教育機関にとって、ある意味でビジネスチャンスではないでしょうか。料金は定額で、楽しく学べる講座を多く提供できれば、大いに盛り上がると思います。
少し話は反れますが、北欧やヨーロッパでは、長期間の休暇を取得して、学業とは異なる学びの機会、経験の機会として活用することが一般的に行われています。居候で仕事をしたり、世界を旅したり、自分なりに考えた何がしかの機会に取り組んだ後に仕事を探す、そういう文化なんですね。これは年齢に関係なく、ビジネスパーソンも思い立ったら実行していますから、とても身軽に生きている印象です。
また、終身雇用制度に依存していないので、スキルを磨いて、やりたい仕事を見つけて、自分のタイミングでステップアップしていくという人生を送っています。一見、回り道してそうで、確固たる保証もなく不安定なように感じますが、彼ら彼女らに悲壮感はありません。自分で学び、自分の人生は自分で切り拓く覚悟を持っているんだと思います。
迫 日本の場合、一流大学に入り、一流企業に入り、定年まで勤めることが美しい生き方のように喧伝されていますが、グローバル化が進んだ現在においては、とても異質な考え方なのかもしれないですね。
美しい生き方にこだわり過ぎてしまい、型にはまらなければはみ出し者として扱われることに恐怖を感じてしまうなど、小さなムラの中で、がんじがらめになっているのかもしれないですね。
栗原 日本企業の入社式は、海外から見るととても不思議ですからね。なぜ全員同じデザインの黒色のスーツを着ているのか。日本人は、周りの人と同じであることに安心する、そういう気質なんだと思います。
考える力、数字で表現する力を備えて、これからの環境で勝負する
迫 ビズハウスは、新入社員研修もご提供しています。確かに服装は全員同じなのですが、人それぞれ個性を持っていることは肌で感じているので、その点は安心しています。ただ、その個性をどこで発揮するのか、そういう場があるのかは気掛かりですね。
因みに、新入社員研修ではビジネスマナー、ビジネスマインドと合わせて、考えること、数字を使うことの大切さを伝えています。
栗原 考える力、数字で表現する力を伸ばす研修に力を入れていることは、ホームページで詳しく知ることができました。不確実性、複雑性、曖昧性が高まっている現在の世の中において、どの世代、どの業務でも必要な力だと思います。
迫 これまでは知識量で勝負できる環境でしたが、AI、IOTなどの発達により、知っていることの価値は下がっていくと考えています。人間の頭の中のデータ量より、人工知能の持つデータ量の方が、はるかに正確で大量ですからね。となると、人間は何で勝負するのか。
人間は人間にしかない特有の能力があり、それは考える力、想像する力だと私は考えています。この力は、他の動物やAIは、未だ追いついていないのではないでしょうか。
栗原 これからは、知識詰込み型の教育から、思考力を醸成する教育へ変えていく必要がありますね。義務教育、高校、大学、専門学校などの学生教育もそうですが、社会人の教育、育成も同様だと思います。
迫 因みに、数字で表現することについては、具体的には会計、財務に関する知識のことです。階層が上がり、重要な業務に就くのであれば、数字を読み、活用できることが必須ではないでしょうか。
何となく、ボチボチ、一生懸命頑張ってます、といった説明では、客観性がまったく無いですからね。簿記の知識までは難しいと思いますが、早いタイミングに売上、経費、利益の意味だけでも理解することは重要だと思います。
栗原 ビジネスパーソンに必要なスキルは、会計、IT、語学と言われています。会計の知見は、数字で表現することにも繋がりますね。私もとても重要なスキルだと思います。
語学については、一時期はバイリンガルがもてはやされましたが、今はスマホや機械を使えばその場で簡単に翻訳できますから、優先順位は少し下がったという印象を持っています。一方で、今の時代、ITリテラシーは必須ですね。
迫 私も研修の中で、この3つのスキルの話をしています。今まではバランスよく伸ばしていくことが是とされてきましたが、今はスペシャリストになることの方が、より自分の個性を発揮できる環境になっていると感じています。
但し、バランス型でいくか、スペシャリスト型でいくかは、すべて自分で判断しなければいけません。周りの意見に耳を傾けた上で、最終的には自分でよく考えた選択、悔いのない選択をするように、と伝えています。
直観力の鍛え方にマニュアルは無い!組織のリーダー、そしてこれからの人材に求められる直観力とは
迫 これまでの人材育成、これまでの人材育成をテーマに、いろいろとお話を聞かせていただきましたが、そろそろBIZ対談からの提言をまとめていきたいと思います。ここはズバッと、これからはどういう人材が求められるか、改めてお聞かせください。
栗原 私は、これからは3種類の人材が求められると考えています。新しいアイデアを創出し、実行に移せる人材。日常から考える習慣を身に付けて、論理的に物事を組み立てられる人材。そして、変化に変化で対応することに、ストレスを感じない人材。
言葉では簡単に言えますが、こういった人材になるには相当の努力が必要です。もしこのような人材が社内にいれば、貴重な存在として活躍の場を与えるべきだと思います。
迫 人材が存分に活躍できる場を提供できるか、適材適所を徹底できるか、企業、リーダーとしての力量が問われますね。
栗原 ぜひ最後に、私からも一つだけ質問させてください。少し抽象的な内容ですが、直観力は正しいと思いますか?
迫 直観が偏見や思い込みにならないように注意は必要だと思いますが、私は直観を信じていますし、正しいと思っています。
直観力とは、日々の情報収集、判断の訓練、心身の健康など、さまざまな経験や知識、スキルによって醸成されるもので、一人ひとりの価値観や考え方が色濃く反映されるものではないでしょうか。
栗原 情報のアンテナを立てている人、責任を伴う判断をしている人の直観力は秀でていると私も感じています。勿論、経営者の直観も当たることが多いですよね。
直観力の鍛え方にマニュアルはありませんが、組織のリーダー、そしてこれからの人材に求められる重要な要素の一つとして、直観力は位置付けられると思います。
迫 さまざまな貴重なお話、ありがとうございました。改めて気付くことも多々あり、身が引き締まる場面もありました。研修でもお話できそうな内容もありましたので、今後に生かしていきたいと思います。
また、ホームページに掲載する今回のBIZ対談の記事を通じて、多くの方に何がしかの気付きを届けることができればと考えています。今後も機会を作り、第2弾、第3段とテーマを変えてぜひ対談させてください。
栗原 こちらこそ、このような機会をいただきありがとうございました。迫さんとはM&Aでご一緒してからのお付き合いですが、今回じっくりとお話できたことで、物の考え方や捉え方、御社の事業などを知れて、とても有意義な時間となりました。
お互いに健康に気を付けて、頑張りましょう!
また一緒にお仕事しましょうね!
今回のBIZ対談のメッセージ
BIZ対談、いかがでしたでしょうか?
第3回は、インフルエンサーの役割、人間力の高め方を中心に話が進みました。
■ インフルエンサーの役割と活用法について
「朱に交われば赤くなる」と言いますが、善くも悪くも、人は周囲の環境や関わる人達から何がしかの影響を受けています。今の自分を形成する要素の中に、あの時に、あの場所で、あの人からの影響を色濃く反映している部分はあるではないでしょうか。
SNSでも「インフルエンサー」という肩書が闊歩している世の中です。人は影響力のある人の言動に重みや意味を感じ、同じようになりたいと考えて行動する傾向にあります。この傾向を上手に活用することで、組織の活性化、コミュニケーションの円滑化を図ってみてはいかがでしょうか?
- 組織に良い影響を与える人材を見つけて、インフルエンサーとして活躍できるポジションに配置する
「人財」にインフルエンサーとして活躍できる場を提供することで、社内に良い影響を与えることができるでしょう。但し、効果が表れるまで、ある程度の時間を要する理解は必要です。
■ 直観力について
「直観」は、瞬時の判断で生まれる認識のことを意味しますが、何もないところから閃くことはありません。その人がこれまでに得た経験、情報、そしてあらゆる知見から総合的に判断したことが、瞬間的にイメージとして認識されるものです。
- 継続したインプットにより、自分で考える力を持つことができます
- 数字を使って論理的に表現する力がある人は、直観力が高まります
これからのビジネス社会で生き残っていくために、勝ち残っていくために、そして、自分のやりたい仕事を実現していくために、これからやるべきことを自分で探して、ぜひ積極的に取り組んでみてください。
■ 研修のご相談は、ビズハウスへ
最後に
「これまでの人材育成、これからの人材育成」というテーマで、全3回に渡ってお届けしてきました。人材育成には根気が必要であること、人材が存分に活躍できる場の提供が重要であることなど、人材育成の現場に携わっている生の声をお伝えできたかと思います。
- 人材の登用は、経験よりも、業務、組織、メンバーとの適合性を重視する
- 失敗しても減点しない、挑戦したら加点する
- インフルエンサーが出てくる環境を整えて、インフルエンサーが活躍できるポジションを与える
昨今は、なるべく失敗しない行動を求められる風潮があります。故に、チャレンジすることに恐れが出てしまい、行動や思考が萎縮している方も多いのではないでしょうか。
挑戦し続けなければ、未来は無い!
挑戦し続けることで、未来は拓ける!
ビズハウスが提供する人材育成においても、「挑戦」をテーマにした研修カリキュラムを積極的に取り入れていきたいと思います。