過去否定はNG、未来肯定で尋ねる習慣に!相手に合わせた対応で、職場の心理的安全性を高める
【心理的安全性|第4回】

お互いの性格を知り、接し方を工夫することで、無駄な衝突を回避する
人間は感情を持った生き物であり、それぞれ性格や特徴は異なります。自分とは違う第三者との関係で、合う人と合わない人が出てきてしまうのは致し方ないことです。
しかしながら、ビジネス社会においては、自分と合わない人とも上手に折り合いを付けながら、仕事に取り組まなければなりません。
過度にストレスを感じたり、無駄なハレーションを起こさないように。性格の不一致を理解した上で、相手に合わせたコミュニケーションを取ることが肝要です。
まずは、メンバー同士で自分の好み、考え方、価値観を共有し理解し合うことからスタートです。自分と相手は異なる視点や思考回路にあることを実感できれば、意見の相違が発生しても冷静に対処することができるでしょう。
「ソーシャルスタイル理論」では、感情と意見の2軸を用いて、コミュニケーションタイプは4つに分類されると提唱しています。
感情を表すか感情を抑えるか、意見を主張するか意見を聞くか、どちらに偏っているかで、コミュニケーションタイプを特定します。

■ コミュニケーションタイプの4分類
コントローラー/実行型
- 感情を表す×意見を主張する
- 行動的で自分が思った通りに物事を進めることを好む
プロモーター/直感型
- 感情を抑える×意見を主張する
- 自分のアイデアを大切にして、人と活気あることをするのを好む
アナライザー/分析型
- 感情を表す×意見を聞く
- 行動する前に多くの情報やデータを収集して、分析や計画することを好む
サポーター/温和型
- 感情を抑える×意見を聞く
- 周りに対する気配りや援助することを好み、協力関係を大事にする
尚、衝突が生じやすいタイプの組み合わせがあります。
事前に衝突を回避できるように、相手を尊重して行動できるようになりましょう。
■ 衝突が生じやすいタイプの組み合わせ
コントローラーVSサポーター
- コントローラー側の対応 結果だけではなくプロセスも評価して、優しく褒めることを第一に
- サポーター側の対応 率直なフィードバックを行い、断言調の言葉を意識して使用する
プロモーターVSアナライザー
- プロモーター側の対応 判断する前に情報を正確に把握して、目的や根拠を明確に示す
- アナライザー側の対応 相手の意見やアイデアを褒めつつ、情報が足りなくても決断を優先する
部下のモチベーションを引き出すには、過去否定ではなく、未来肯定で尋ねるように

上司や先輩が、部下や後輩とコミュニケーションを取る際、自分が聞きたいこと、知りたいことばかり尋ねているケースが散見されます。特に、過去を否定する質問ばかりしてしまうと、相手は心を閉ざしてしまうでしょう。
すでに終わったこと、失敗したことをいくら責めても、何も変わりません。それよりも、どうすればできるようになるかを問う、未来肯定で尋ねる方が、心理的安全性を高める効果を生み出します。
■ 質問するアプローチ
- 未来肯定 どうしたらできるようになるかを問う
- 過去肯定 過去から何を学んだかを問う
- 未来否定 できないとどうなるかを問う
- 過去否定 どうして出来なかったのかを問う
尚、質問した後、相手の回答をどのような姿勢で受け止めるかにも注意が必要です。
相手の話を否定せず、相手が話したいことを聞くことを心掛けていきましょう。
■ 話を聞くときのNG行動
- 相手の話を途中で遮る
- 相手の話を頭ごなしに否定する
- 自分の興味や関心のあることだけを聞く
- 話の途中でカットインして、自分の話ばかりする
聞く姿勢を示すだけではなく、聞くスキルを磨いていけるように。
聞くスキルが高いメンバーが揃っている職場は、心理的安全性が高い環境と言えるでしょう。
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心理的安全性を高めることを目的にしない!一人ひとりのやりがいを感じられる環境を目指す

なぜ心理的安全性を高めることにフォーカスしなければならないのか、その目的を忘れてはなりません。
心理的安全性を高める目的とは、居心地が良い職場をつくることではありません。組織やチームが目標を達成できるように、学習や成長し続けられるように生まれ変わることをゴールに、取り組みを進めていく必要があります。
一方で、心理的安全性が高ければ、すべてが円滑に、高次元のパフォーマンスを発揮できるという訳ではありません。
心理的安全性とは、組織やチームの機能を高めるために必要な一要素である、と理解しておかなければなりません。
- 心理的安全性を醸成し、学習を促進する
- 回避可能な失敗や衝突は、なるべく避ける
- 高い目標や基準を設定して、モチベーションを促す
- その目標や基準を達成できるように、一致団結して取り組む
複雑なビジネス環境において、多様な人材が協働できなければ、より大きなアウトプットを生み出すことはできません。
心理的安全性は、今後も職場づくりの重要なテーマに位置付けられるでしょう。