一人ひとりが挑戦できる職場に!心理的安全性の高い環境が、優れた集団的知性を育む
【心理的安全性|第3回】

人と人とが関わるプロセスに焦点を当てて、チームの最適化を図る組織開発が重要に
米国のGoogle社は、さまざまなデータを解析して、効率的に成果を上げるチームの条件を導き出しました。その条件とは、メンバー同士がいかに協力し合うか、協力し合えるかというものでした。
言い方を変えれば、ビジネスパーソンのパフォーマンスが組織の生産性向上に貢献するのではなく、心理的安全性の高い職場環境こそ最も業績貢献に資する重要なポイントである、と結論付けたのです。
これを前提に考えると、これまで多くの企業が実施してきた「人材開発」「人材育成」以上に、チームの最適化を図る「組織開発」の方が、現在のビジネス社会においては求められていることになります。
それゆえに、心理的安全性の高めるうえでフォーカスすべきポイントは、人ではなく組織であると言えるでしょう。

チーム内の心理的安全性を高めるには、4つのポイントを押さえておく必要があります。
チーム内の対人不安を減らし、協力行動を促すことを常に意識しなければなりません。
■ チーム内の心理的安全性を高めるポイント
- 透明性 人は不確実で不透明な状態に不安を感じるため、情報の透明性を常に高く保つ
- 主体性 人は他人からの押し付けに抵抗を感じるため、自分が選択、自分で決定、と認識させる
- 公平性 人は不公平に扱われるとやる気を失うため、機会、発言、承認の公平性や平等性を保つ
- 尊重 人は感情論や評価視点で人を判断しがちになるため、相手の存在自体を認める意識を持つ
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対話で本音を聞き出す!言いにくい、言えないと感じていることを意識的に拾い上げる
心理的安全性を高めるうえで、まずはチームの現状について正確に把握しなければなりません。メンバーに対して現状を共有した後に、具体的な取り組みはスタートになります。
チームの現状を知るには、報連相、議論、会話ではなく、対話が有意義であるとされています。普段は言いにくい、言えないと感じていることなど相手に本音を話してもらい、それを全て受け入れる姿勢を示すことが必要です。
■ 対話に臨む姿勢
- 相手の話を途中で遮ったり、否定しない
- 聞く側の価値観を排除して、最後まで話を聞く
また、リーダーや上司の方から弱音や本音を発言することで、メンバーも自分の本音を話しやすくなります。
対話を上手く進めたり、まとめたりすることよりも、本音を言い合う、本音を聞き出すことに重点を置きましょう。
■ 対話のルール
- 各自の本音を、全員で共有する
- 相手の話は最後まで聞き、否定しない
- 立場、役職、肩書は持ち込まず、対等に接する

尚、対話の進め方にもコツがあります。
ファシリテーターを中心に、全員に発言する機会を設けることで、各自の参画意識や貢献意欲を高めることができます。
■ 対話の進め方
- アイスブレイク
- リーダーの本音、弱音
- 参加者全員の本音、弱音
- 前向きな受け答えの後、意見や質問
- 振り返り
対話を行う際には、予め話し合うテーマを決定し、参加者全員に対して事前に案内しておきましょう。
安心して話せる対話のレベルとは?!お互いの理解を深めて、対話の場を有意義に

対話と会話は、言葉の意味は異なります。対話とは相手と向かい合って話し合うことであり、会話とは複数の人が互いに話すこと、という定義で使われます。
よって、対話は自分とは異なる相手の意見を受け止めて、双方が理解し合わなければ成立しない、ということになります。
対話にはレベルがあり、相手との関係性、理解度に応じて、レベルの高低は異なってきます。
■ 対話のレベル
- 探求的対話 自分の意見や主張に固執せず、相手の立場も尊重して行う対話
- 儀礼的会話 本音を言わず、建前のやり取りをするのみの見せかけの会話
- 創造的対話 双方の違いを乗り越えて、新しい何かを創り出す対話
- 討論 自分の意見や主張を率先して伝える、対立関係の対話
最初は儀礼的な会話からのスタートになりますが、複数回の対話を通じて、段階的にレベルを上げていきましょう。対話を通じて心理的安全性を高める、そのことを目的とした対話の場を設けることが、創造的対話への近道になります。
対話のテーマは日常業務に関してメンバーが話しやすく、身近な内容でOKです。課題の共有、ルールの見直し、作業フローの改善など、全員が同じ意識を持っている内容であれば尚良しです。
尚、各自が多忙の中、改めて対話の時間を設けることに周りの理解が得られない場合には、空いた時間に、業務に支障が出ない程度に雑談することをお薦めします。
雑談は、相手の業務状況やプライベートな部分を知ることができ、お互いの理解を深める効果があります。
人間関係を構築する上で雑談は有効な手段であり、短い時間でも回を重ねていく工夫を取り入れていくと良いでしょう。
■ 職場での雑談のメリット
- アイデアやヒントが生まれる
- 悩みごと、困ったことを相談できる
- 相手の状況、状態、価値観が分かる
- 相手のことを知り、仲間意識が芽生える