心理的安全性の高いチームの成立条件とは?!柔軟なリーダーシップで、心理的安全性を組織の共有信念に
【心理的安全性|第2回】

心理的安全性を高めるには、高い目標設定と明確な役割分担が必要に
心理的安全性を構築する上で焦点を当てるべきは、個人ではなく組織です。そのため、心理的安全性がパフォーマンスに与える影響を紐解いていくには、組織やチームとは何かについて考えなければなりません。
心理的安全性とは、チームメンバーを挑戦へと動機付けるための概念です。
それゆえに、組織やチームがしっかりと成立していてこそ、心理的安全性の効果は最大限に発揮されます。
■ チームの成立条件
- 達成すべき明確な目標が共有されている
- メンバー間の協調、依存の関係性が構築されている
- 各メンバーが果たすべき役割、責任、分担が明確になっている
- チームを構成するメンバーとそれ以外との境界が明確になっている
上記の成立条件を踏まえて、心理的安全性の高いチームには共通点があります。
■ 心理的安全性が高いチームの共通点
- メンバー一人ひとりが、自分の意見や主張を持っている
- 自分の意見や主張を誰に対しても発言でき、相手と意見が異なる場合は、その意見を伝えられる
- 意見の異なる相手でもお互いの意見を受け止め、共通の目標に向けた合理的な選択ができる
- 相手の意見を否定しても、人間関係が悪くなったり、評価が下げられたりしない
但し、心理的安全性が高くても、目的が曖昧で、目標が低く、不明確な役割分担の場合には、高いパフォーマンスは望めません。言い方を変えれば、高い成果を実現するには心理的安全性だけでは不十分である、ということです。
そのため、組織のトップにおられる方々は、成立条件の具備と心理的安全性の向上を両輪でマネジメントしていく必要があります。
誠意を持って話を聴く!発言者が対人不安を感じないように、誠実に受け止める姿勢を示す

他人にどう思われるか…という評価を心配してしまう気持ちも分からなくはありません。しかしながら、心理的安全性とは、率直に発言しても大丈夫と思える状態や環境であるという意味であるため、そのような気持ちを相手に持たれてしまっては元も子もありません。
評価への懸念、対人不安が強い場合と弱い場合、それぞれで一人ひとりの行動結果は異なります。
率直に言い合える環境を整えるには、発言する側の意識よりも、聞く側の受け止め側の方が重要ではないでしょうか。
■ 評価懸念、対人不安が強い場合/発言があっても、無視や否定されてしまう場合
- トラブルの放置
- 不正や不祥事の発生
- 組織の改善、成長が止まってしまう など
■ 評価懸念、対人不安が弱い場合/発言に耳を傾けて、フィードバックする場合
- トラブルの早期解決
- 不正や不祥事の防止
- 組織の改善、成長が促進する など
発言者に評価への懸念や対人不安を感じさせないようにするには、まずは誠意を持って相手の話を聴く姿勢を示す。そして、相手の指摘や質問を歓迎することが大切です。
お互いに適宜適切なフィードバックができるようになれば、心理的安全性の高い学習する組織が実現するでしょう。
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心理的安全性を高めるリーダーシップを!上司、先輩としてのあり方を考えるきっかけに

組織やチームには必ずリーダーが存在し、全体をマネジメントする任務を遂行しています。そのリーダーが持つ力(権力、権威、裁量)が大きければ大きいほど、心理的安全性は低くなると言われています。
特に、大企業かつピラミッド型の組織では、立場の低い人達が自分の意見を発信できる機会は少ないのが実状ではないでしょうか。
発信や発言が少ない組織では、斬新なアイデア、今までにないイノベーションが生まれる可能性は減少してしまいます。また、ミスや不正に対する指摘も無く、見て見ぬふりをして放置されたままになる可能性も高まってしまいます。
組織のトップであるリーダーこそ、率先してメンバーに支援を求めること、自分の弱さを認めることを発信していきましょう。
心理的安全性を高めるために、リーダーができることやすべきことは、率先して取り組まなければなりません。
■ 心理的安全性を高めるリーダーの行動
- リーダーの開放性
- リーダーの話しやすさ
- リーダーと話す機会の作りやすさ

尚、心理的安全性を元に各メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すには、開放的で話しやすく、いつでも話す機会を持てるようなリーダー像、リーダーシップが最適とされています。
インクルーシブリーダーシップ(包摂的なリーダーシップ)と呼ばれるもので、最近注目されている考え方です。
■ 心理的安全性を高めるリーダーシップ
- インクルーシブリーダーシップ メンバーの能力を最大限に引き出し、組織全体の能力を向上させる
- セキュアベースリーダーシップ リーダーがメンバーの拠り所となり、才能、意欲、創造力を引き出す
- サーバントリーダーシップ 傾聴や支援を通じて目標を達成できるよう、主体的な行動を促す
- ハンブルリーダーシップ 謙虚な姿勢で、個人的な繋がりを重視する
リーダーは失敗に対する制裁を止めて、報連相を歓迎する態度を示す。また、パフォーマンスと責任について期待していることを明確に伝えるなど、具体的な行動を通じてチーム全体の心理的安全性を高めていくイメージです。
リーダーが個人で創意工夫や努力をするだけでなく、組織形態の改革、改善を図ることも重要です。
時代に合わせて、何が最適かを考えて、個人と組織を作り変えていきましょう。