【取組実績|第57回】

EBPM研修のカリキュラム、研修の雰囲気をご紹介します

高知県職員のみなさまを対象に、EBPM研修を実施しました。県内の政策立案を担当する方々が集まり、証拠に基づく政策立案を推進できるように、EBPMの作業ステップや押さえておくべきポイントを解説しました。

また、実際に取り組まれている政策をもとに、進捗状況の確認、報告、提案に関する実務ノウハウをご提供しました。

■ EBPM研修 目的

  • 思い付き、思い込み、今まで通りではなく、具体的な証拠に基づいて政策を考えられるように
  • ロジックモデル、ナッジ、情報収集や活用のポイントなど、新たな知見をインプットする機会に

■ EBPM研修 カリキュラム

  1. 地方自治体を取り巻く環境
  2. EBPM(Evidence-Based Policy Making)の全体像
  3. 情報・データの活用
  4. グループワーク:SWOT分析

限りある地域資源を最大限に活用して、個性的で魅力ある自治体として存在できるように。

EBPMを現場に取り入れるための知見をインプットいただけたのではないかと思います。

OBPMからEBPMに!現状分析のエビデンス、政策効果を把握するエビデンスを重視する

昨今、EBPMという言葉を聞く機会が増えてきました。人口増、右肩上がりの経済情勢、潤沢な資源があった一昔前の環境と現在の環境は大きく異なり、限られた資源をどのように活用し、最大のリターンを獲得するかを考えて実践することが求められています。

言い方を変えれば、その限りのエピソード、思い付き、思い込み、総花的な政策では立ち行かなくなりました。政策の目的を明確にして、情報やデータなどの合理的かつ科学的な根拠に基づき、適宜適切な政策を立案、実施する必要があります。

現在、国もEBPMの推進を積極的に促しています。

政策の有効性が高まり、行政への信頼確保に資する効果が得られると期待されているからです。

■ 従来の政策立案プロセス|Opinion Based Policy Making : 意見に基づく政策立案

  • 地域の現状、課題を明確にせず、抽象的、総花的、誰にも波風が立たない目標を設定する
  • 科学的な根拠のない、思い付きの数値目標を設定する
  • アイデアベース、エビデンスに基づかない政策を羅列し、優先順位を付けず、とりあえず実施する
  • 政策効果を評価せず、実行したからOKで終わらせている
  • 結果、地域の現状、将来のビジョンに沿った政策にはなっていない

■ 本来あるべき政策立案プロセス|Evidence Based Policy Making : 証拠に基づく政策立案

  • 地域の現状、課題を定性的、定量的に把握して、具体的、重点的な目標を設定する
  • 科学的な根拠に基づいて、数値目標を設定する
  • ビジョンの実現、問題や課題を解決するための政策メニューを厳選し、優先順位を付けて実施する
  • 各政策の結果を評価して、改善する、次の政策に反映する

大量のデータ、高度な統計技術を駆使したエビデンスがあっても、EBPMに活用できなければ、価値を見い出すことはできません。また、収集に高コスト、意思決定者に理解不能であれば、EBPMには不適当と判断しなければなりません。

エビデンスが政策形成に役立つための成立条件は、4つあります。

客観的で信頼のおけるエビデンスはどこから取得するか、また、どのようにエビデンスを加工するかがポイントです。

■ エビデンスの成立条件

  • 客観性 : 原因と結果が正しくとらえられているもの
  • 信頼性 : データ収集が厳密、分析方法が妥当、分析結果が明確だと、強力な論拠に
  • 実用性 : コストや時間など、費用対効果にも配慮し、政策立案者が容易に政策に変換できるもの
  • 適切さ : タイムリーで話題性があり、政策的な意味合いを持たせられる

科学的な根拠のない、思い付きの政策を羅列すること。そして、優先順位を付けず、とりあえず実施することが無いように。

何事も根拠を持たせて取り組み、各政策の結果を評価して、次の政策に反映していく流れが理想的と言えるでしょう。

科学的根拠を踏まえた政策形成は、4つのフェーズで取り組む

科学的証拠に基づく政策形成は、4つのフェーズで段階的に、確実に取り組む必要があります。

政策形成に必要なエビデンスは各フェーズで異なるため、必要なものを必要なときに準備、精査しなければなりません。

■ フェーズ1:ビジョンの設定

ビジョンは、プロジェクトが達成しようとしている目標の枠組みを示します。また、プロジェクトの成否を判断するベンチマークの役割を担います。

自治体の政策立案においてビジョンを掲げる際には、地域全体のビジョン、ならびに分野別のビジョンを設定することになります。

分野別ビジョンが相互に関連しながら、地域全体のビジョンを実現する、という建て付けが理想的です。

■ フェーズ2:コア問題の発見・政策目標の設定

フェーズ2は、現状を把握し、問題を洗い出し、政策課題に結び付けて、目標を設定する段階です。そのため、政策論議の議題に乗せるか否かの判断を行うために、信頼できるエビデンスを構築しなければなりません。

事実の羅列ではなく、利害関係者から情報を獲得し、納得する現状分析と将来予測が必要となります。そのプロセスにおいて、地域全体ビジョン、分野別ビジョンを実現するために解決すべき、重要な地域課題を発見していくイメージです。

論理的思考、WHYを繰り返して、問題発生の真因を把握しましょう。

また、政策効果、政策パフォーマンスを評価できるように、インプット、アウトプット、アウトカムの3項目の政策目標を設定しましょう。

  • インプット : ヒト、モノ、カネなどの行政資源
  • アウトプット : 行政サービスというアウトプットを地域住民に供給
  • アウトカム : 生活の利便性向上、地域経済の発展

■ フェーズ3:政策立案

フェーズ3は、ビジョンの実現、目標の達成に効果を発揮する政策を練り上げる段階です。まずは政策案を数多く出してから、それぞれを精査して、最も有意義な政策から順番に採用する流れになります。

尚、政策に影響する地域環境を把握するためのフレームワークは、数多く存在します。

政策の事前評価も含めて、使い勝手の良いフレームワークを活用しながら、時間とコストをかけてより良い政策を作り上げましょう。

  • SWOT分析 : 強み、弱み、機会、脅威の4要素から現状と課題を知る、将来予測を見い出す
  • 回帰分析 : 原因と結果の因果関係に関する仮説を検証し、政策形成に必要なエビデンスを発見する
  • 費用便益分析 : 発生する便益の特定化!便益は貨幣価値に換算して金額表示で評価する
  • 経済波及効果 : 産業連関表を用いて計算する ※取引基本表、投入係数表(技術構造)、逆行列係数表(波及効果)
  • シフトシェア分析 : 地域の成長率の変動要因について、国全体の経済成長から乖離している要因を明らかにする

■ フェーズ4:政策実行・事後評価

すべての政策が成功するとは限りません。そのため、成功に近づけるべく、所期の目標をどの程度達成しているか、要したコストはどの程度か、政策実行後のモニタリングは必須と言えます。

また、政策の評価は、パフォーマンスの改善、修正点を発見するために行う重要な作業となります。

たとえ良い取り組みであっても、相手に伝わなければ意味がありません。また、たとえ効果があったとしても、共感を得られなければ独りよがりの政策になってしまいます。

周りからの理解と協力を得ながら、地域にとって最適な政策を推進できるようになりましょう。

■ 研修のご相談は、ビズハウスへ

クライアント情報

※本研修は、一般社団法人日本経営協会様からのご紹介、ならびにサポートを受けて実施しました

【アーカイブ|取組実績】

Please follow and like us: