【財務分析|第4回】

ヒト・モノ・カネをチェック!

組織運営、現場実務の実態はどうなっているのか?!効率性、生産性を知りたいときに

なぜ財務分析を行うのか、その目的を明確にすることで、どの分析指標を採用するかが決まります。

企業経営の良し悪しを検証したいときは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を分析する指標が有意義です。

一方、組織運営や現場実務など業務レベルの良し悪しを検証したいときは、回転率や回転日数、一単位当たりの数値を活用することで、現場の実態をより詳しく把握することができます。

現場の動き、実績の定量的な評価は、次に何をすべきかを導き出すきっかけになります。

  • 何を伸ばすか?
  • 何をテコ入れするか?

社員一人ひとりの意識を同じ方向に、そして、毎日の行動を改善、改良に繋げられるように。回転率、回転日数、一単位当たりの数値を日常の業務に取り入れてみましょう。

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回転率|投入した資源が、一定期間にどのくらいアプトプットを生み出したかを示す指標

企業は保有する資産や負債、資本をどれだけ効率的に活用することができるか、また、投入した資源をもとにどれだけ利益を生み出すことができるかを考えて、行動しています。

回転率とは企業活動の活発度を指標化したものでもあり、高い数値であるほど、効率的な経営、組織運営ができていると評価されます。言い方を変えれば、現場レベルの業務の良し悪しを定量的に評価できる指標です。

■ 代表的な回転率指標

  • 在庫回転率
  • 総資産回転率
  • 売上債権回転率
  • 仕入債務回転率 など

今回はさまざまな回転率の中でも重要な2つ、在庫回転率、総資産回転率についてご紹介します。

資産の効率性、生産性を知る!

在庫回転率

在庫回転率(棚卸資産回転率)とは、一定期間に自社の在庫がどの程度入れ替わったかを示す指標です。故に、在庫回転率が高ければそれだけ在庫が何回も入れ替わっている実績であり、その商材がたくさん売れた、という証拠になります。

  • 在庫回転率が高い 売れている商材!
  • 在庫回転率が低い 売れていない商材…

計算式は「売上高」を使う方法と「売上原価」を使う方法の2種類あります。より正確な結果を得たい場合には、「売上原価」を使う計算式を使ってください。

【計算式】

  • 在庫回転率=「売上高」 / 期中平均、または期末の在庫(棚卸資産) … 売上高に利益が含まれ、回転率は大きくなる
  • 在庫回転率=「売上原価」 / 同上 … 在庫が何回転したか、純粋に把握できる

各商材の在庫回転率について、それぞれの傾向を把握することができれば、今後の対策に繋げることができます。特に数値が悪い商材に対して、在庫回転率を上げる施策を重点的に講じていきましょう。

【在庫回転率を上げる施策例】

  • 販売価格を下げる
  • 在庫処分セールを実施する
  • 不良在庫を思い切って処分する
  • 生産量を減らし、過剰在庫を未然に防ぐ
  • 調達、生産、納期のリードタイムを短くする など

■ 総資産回転率

総資産回転率とは、企業が持つ資産が企業の収益にどれだけ有効に活用されたかを示す指標です。総資産が何回転して売上高として計上されたか、経営効率を示す指標とも言えます。

小さな投資で大きな売上高を計上できれば効率性は良く、大きな投資で小さな売上高である場合には、効率性は悪いと評価されます。

【計算式】

  • 総資産回転率=売上高 / 総資産

尚、総資産回転率を向上させるには、大きく2つの方向性があります。

【総資産回転率を上げるための戦略の方向性】

  1. 現在の総資産のままで、売上高を増加させる
  2. 現在の売上高を維持して、総資産を減少させる

売上高を増加させるには、販路の拡大、価格の見直し、サービスの拡充などの取り組みを進めましょう。総資産を減少させるには、遊休資産を洗い出して、売却、処分していきましょう。

どちらの戦略の方向性を取り入れるかは、現在のビジネス環境、ビジネスモデルの特徴、タイミングなどを考慮して判断してください。どちらが正解ということではないため、現状を踏まえて取り組みやすい方向性を選択すれば良いと思います。

一単位当たりの数値|業種、業界によって重視する指標に特徴がある

一単位当たりで良し悪しをチェック!

より細かい単位で比較、分析したいときは、一単位当たりの数値、を活用することをお薦めします。製造業とサービス業、上場企業と中小企業など、各社の置かれた環境に応じて重視する項目は異なるため、注意して活用していく必要があります。

例えば、携帯電話などの通信事業者は、電話料金とデータ通信料金を合わせた一契約当たりの平均売上高をどのように上げていくか、「ユーザー一人(一契約)あたりの売上高(ARPU)」を重視しています。

また、飲食店や小売店などのB to C事業を展開している企業は、限られた販売スペース(飲食スペース)を無駄なく活用できているか、「店舗の一㎡あたりの売上高」 「店舗の一席あたりの売上高」 を重視しています。

■ 一単位当たりの数値例

  • 一株あたり
  • 一人あたり
  • 一㎡あたり
  • 一席あたり
  • 一契約あたり
  • 一店舗あたり など

自社にとって、重要な 「一単位当たりの数値」 は何でしょうか?

現場レベルの問題、課題を見つけたいとき、悪化の原因を探し出したいときは、より細かく解きほぐして分析、検証してみてください。インパクトが大きな一単位当たりの数値が見つかれば、その対処、改善に全力で取り組むことができるでしょう。

【アーカイブ|財務分析】

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