SWOT分析を活用!ビジネス環境、経営資源を検証して、戦略の方向性を導き出す
【経営分析|第3回】
SWOT分析を通じて、現状認識を共有する
SWOT分析は、現状分析を踏まえて、将来への戦略の方向性を導き出すフレームワークです。
- 外部環境要因を、「機会」と「脅威」に分類、分析
- 内部環境要因を、「強み」と「弱み」に分類、分析
尚、外部環境をPEST分析や5フォースで、内部環境を7つの経営資源で個別に分析することもできます。
SWOT分析のフレームワークを使う場合は、外部環境、内部環境の順番で分析を進めていきましょう。
■ 外部環境要因を分析する
- 拡大、拡張が見込めるチャンスの状況か?
- 守りを固める、撤退を考えなければならないピンチの状況か?
グローバル化、コト消費、女性の社会進出、少子高齢化、自然災害、オンライン化、DX化など、国内外のさまざまな変化、摩擦、対立は、自社にとって果たしてチャンスでしょうか、それともピンチでしょうか?
■ 内部環境要因を分析する
- 経営資源に焦点を当てた優劣(強み、弱み)を判断する
- 力、技術、有形資産、無形資産に焦点を当てた特徴を把握する
グローバルな販売網、最新のインフラや設備、ブランド力、新商品開発力、社員のモチベーション、チャレンジ精神など、自社の強みとは何か、強みと思っていることは本当に強みと誇っていいものか、改めて確認してみましょう。
自社のコアコンピタンスは何か?!
競合他社には真似できない商品やサービス、同業他社を圧倒的に上回るスキルやノウハウのことを、コアコンピタンスといいます。評価する時点の環境や個々人の認識の違いによって、コアコンピタンスの捉え方は変わります。
■ コアコンピタンス
- 耐久性 より長持ちに、小型に、軽量に、使い易く改良を重ねているか?
- 希少性 他社が容易に真似できないものか?
- 移転可能性 他の商品、サービスへの展開、転用は可能か?
- 代替可能性 他の商品・サービスでは代えが効かないものか?
自社内にコアコンピタンスが複数存在していても、まったく問題ありません。
一つのコアコンピタンスに固執せず、第二、第三のコアコンピタンスを探し出す、新たに創り出すことが重要です。
分析結果をもとに、戦略の方向性を導き出す
外部環境要因を「機会」「脅威」に、内部環境要因を「強み」「弱み」に分類しました。この結果をクロスさせることで、今後の戦略の方向性を導き出すことができます。
SWOT分析の結果から、攻めか守りかの戦略の方向性までを導き出すフレームワークのことを、クロスSWOT分析といいます。
外部環境要因の「機会」「脅威」を横軸に並べ、内部環境要因の「強み」「弱み」を縦軸に並べてください。そして、外部環境は機会か脅威か、内部環境は強みか弱みかを判断してください。
この2つの結果をクロスすると、以下のいずれかの組み合わせに当てはまります。
■ 強みを活かして、拡張を志向する
- 強み×機会 自社の強みを機会にぶつけて、事業強化、事業拡大を図る積極攻勢のタイミング
- 強み×脅威 強みを活かして、分野の絞り込み、エネルギーの使い方を考える差異化のタイミング
■ 弱みを補完して、全体を底上げする
- 弱み×機会 弱点を克服して、取りこぼしが無いように機会を捉える段階的施策のタイミング
- 弱み×脅威 最悪の事態にならないように手を打つ、防衛・撤退のタイミング
ここで得られた戦略の方向性をベースとして、具体的な施策の立案に入ります。
目的を見失わず、それぞれが置かれた環境で目標に向かって行動する
企業活動は、何をするにも相応の経営資源の投入が必要であり、結果が判明するまでには時間がかかります。取るべき施策を幅広くイメージできるか、具体的にどの施策を取るべきかを判断できるかが、施策立案におけるポイントです。
施策を立案する際は、攻め(投資)か守り(回収)か、短期、中期、長期でイメージすると分かり易く整理できます。使える経営資源とアウトプットの期限を定めて、どのような施策を取るべきかを考えていきましょう。
尚、幅広いイメージとは、言い換えれば、企業活動の選択肢をどれだけ多く持っているか、ということです。攻めでも守りでも、使える選択肢を多く持つことは、急な変化にも対応できる力の証であり、評価すべきスキルです。
知見の積み上げと新しいことへ挑戦する姿勢、失敗を糧にして次に繋げる行動は、常に続けるようにしましょう。
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会社を知るきっかけに、SWOT分析を
SWOT分析、クロスSWOT分析は、現状を把握して将来を考える際には、とても有意義なフレームワークです。
- 自社の経営状態を確認したい
- 事業計画を立案、策定したい
- 所属する部署の認識を一致させたい など
但し、SWOT分析を含めたさまざまなフレームワークは、その運用によって得られる効果は異なります。
何を目的として分析しているのか、フレームワークの選択は適切か、目的と効果を確認してから取り組みましょう。