【ファイナンス|第2回】

さまざまな指標を経営に活用!

儲かる、儲からないの判断基準とは?! 周囲の納得感が得られる基準となるように

ビジネス社会で活動する営利企業は、利益を出すことを至上命題として活動しています。言い換えれば、企業活動は利益を原資にして成長と拡大を目指し、より多くの儲けを出すための取り組みに注力しなければなりません。

経営資源をどのように活用すれば、より多くの利益を獲得することができるのか?!

外部環境の変化を先読みして、利益に繋がる戦略や施策を講じられるかがリーダーに課された重要なミッションであると言えます。

■ 収益性を評価する

  • 事業
  • 地域
  • 商品
  • サービス
  • プロジェクト など

果たして儲かるのか(儲かったのか)、儲からないのか(儲からなかったのか)は、何がしかの基準を設定することで、その良し悪しを評価することができます。

儲かったのか否かによって、将来の目標や次に取るべき行動は異なります。また、複数の候補の中から選択する内容も異なってくるため(プロジェクト選定など)、周囲の共感と納得感が得られる基準を設定しなければ、判断の妥当性、客観性を担保することはできません。

それゆえに、基準となる項目と数字の内容は、今後の経営を左右するとても重要なポイントになります。

■ 研修のご相談は、ビズハウスへ

代表的な判定基準は4つ!「儲け」の定義を考える

価格と価値のバランス!

儲けを判定する際は、4つの基準のいずれかを用いるのが一般的です。企業経営において何を重視するのか、将来のビジョンを具体化するためには何を求めるのかによって、採用する基準は異なります。

そのため、各企業、各組織によって、実際に活用している基準はさまざまです。

その時々の経営に資する基準を用いることが、最も有意義な運用方法と言えるでしょう。

■ 利益率で判断する

最も活用されている儲けの基準は、利益率です。

売上高に対してどのくらいの利益を計上できたか(計上できるか)を指標化して、良し悪しを判断します。

  • 利益率=利益/売上高*100

■ 利益額で判断する

売上高の大小は問わず、利益の絶対額を基準にして判断します。

尚、利益には種類があり、それぞれの意味は異なります。どの利益を重視するのか、その理由について、周囲への説明と理解が必要です。

  • 売上総利益│商品、サービスの付加価値を表す
  • 営業利益│事業、ビジネスモデルの力を表す
  • 経常利益│金融取引も含めた、会社全体の力を表す
  • 当期純利益│一年間の企業活動の結果を表す
  • 限界利益│計上できる利益金額の限界を表す

■ 投下資本に対するリターンで判断する

投資金額に対して、どれだけの利益を生み出したかを基準にして判断します。「利回り」という考え方で、企業経営においては、投資金額を効率的に利益に結び付けることが求められます。

最近は、ROICと呼ばれる経営指標を取り入れる企業が増えてきました。リスクに対するリターン、投資に対するリターンを測る際には、有意義な指標とされています。

  • ROIC│投下資本を用いて、どれだけの利益を生み出せたのかを表す
  • ROA│総資産を活用して、どれだけの利益を生み出せたのかを表す
  • ROE│自己資本(純資産)に対して、どれだけの利益を生み出せたのかを表す

■ ファイナンスで判断する

上記の利益率、利益額、投下資本に対するリターンは、決算書に掲載されている数字をもとにした考え方です。

決算書上では、実際にお金が入ってこなくても利益を計上することができます(仕訳:売掛金/売上高)。それを悪用して業績を良く見せようと、架空取引や循環取引などの粉飾決算が後を絶ちません。

一方のファイナンスとは、入金、出金の予想または結果をもとに時間的価値を取り入れた考え方です。お金のやり取りには必ず第三者が存在し、銀行口座に記録として残るため、客観性が担保されていると言えます。

時間的価値(現在価値修正)を行い、結果プラスか否かで良し悪しを判断します。

判断基準は他にも!数字の根拠と正確性を明確に、状況に合った指標を活用する

経営に定量判断は必須!

上記でご紹介した基準の他にも、特に投資を判断する際に活用されている指標があります。これらも含めて、特に大規模プロジェクト、M&Aによる企業買収、工場の新規建設などを行う場合には、ファイナンスを軸に複数の基準を活用するのが一般的です。

環境、条件、内容によって最適な判断基準を用いることができるように、それぞれの特徴や使い方を理解しておくと便利でしょう。

■ IRRで判断する

IRRとは、実際の投資額ならびに将来得られる利益額をもとに、現在価値修正がゼロになる比率です。

資金調達コストとIRRを比較してIRRが上回っている場合には、利益が出ている状況(利益が出る可能性が高い状況)と判断できます。

■ 投資回収期間で判断する

毎年の利益からこれまでの投資額を回収するにはどのくらいの期間が必要か、期限を設けて要否を判断する考え方です。

金銭の時間的価値、将来の利益予想の不確実性は考慮しませんが、計算は簡易なため、比較的早く判断まで到達することができます。

【アーカイブ|ファイナンス】

Please follow and like us: