当期純利益は株主還元と将来への投資の原資!毎年しっかりと利益を残して、企業体質を健全に
【損益計算書|第8回】
今期に限り突発的に発生した事案は、特別利益、特別損失として計上する
企業経営を続けていく中で、思いもよらぬ突発的な事案は毎日のように発生します。経営者、そして職場のリーダーは、どのような緊急事態に対しても状況を正確に把握し、冷静沈着な判断と行動が求められます。
ヒト、モノ、カネが動けば、必ず決算書に反映されます。たとえ突発的な事案であっても、利益に繋がった事案であれば特別利益に、損失を被った事案であれば特別損失として計上されるのが会計上のルールです。
■ 特別利益の代表的な項目
- 不動産、株式の売却益
- 引当金による戻入益
- 債務免除による債務免除益 など
■ 特別損失の代表的な項目
- 火災、自然災害、盗難による損失
- 不動産、株式の売却損
- 固定資産の除去損
- 在庫商品の評価減
- 損害賠償対応費用
- リストラ費用 など
「特別」であるゆえに、狙って獲得できるような利益、または損失ではありません。
特別損益は当期限りのものであるため、損益の評価や将来予測をする際には、特別損益を除外して分析、検証する必要があります。
納税は国民の義務!法人税、住民税、事業税を納めて当期純利益へ
経常利益に特別利益を加算し、特別損失を控除すると、税金を納める前の一年間の純粋な利益「税引前当期純利益」が計算されます。当期純利益まであと一歩!法人税、住民税、事業税の3種類の税金を計算して、損益計算書に計上しましょう。
法人税は法人の課税所得に課される税金で、国に納めるので国税の枠組みに。住民税及び事業税は都道府県や市区町村から課される税金で、地方税の枠組みに入ります。
■ 法人税
- 法人税の税率は法人の種類と規模によって決まり、課税所得金額に一定の税率をかけて計算します
- 現時点において、最も高い法人税の税率は23.4%です
■ 住民税
- 法人税を課税標準として計算した法人税割、資本金等や従業員数に応じて課税される均等割の2段階構造になっています
- 最終的に赤字の年度であっても、一定の金額は納税しなければなりません
■ 事業税
- 都道府県に事務所や事業所を設けている事業会社に課されます
- 中小企業の課税は所得割のみのことが多く、事業税を法人税等に含めてもOK
利益を出して、必要な納税をしなければ、会社に現金を残すことはできません。
利益が出ていると節税したい、利益を多く残したい気持ちが出てくるものですが、しっかりと納税して、当期純利益を確定しましょう。
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株主還元、来期の活動や投資の原資は当期純利益!成長と拡大を続けるための裏付けに
当期純利益(または、当期純損失)は、事業年度内に発生したすべての事案の結果が表された数字です。これまでの各種利益と同様に、当期純利益は大きければ大きいほど望ましく、企業経営は順調と評価されます。
■ 計算式|当期純利益率
当期純利益率=当期純利益/売上高*100
当期純利益は株主への還元(配当金支払い)や、来期の企業経営の原資(キャッシュフロー)になります。施策の選択肢を多く持つためにも、当期純利益の充実は必須と言えるでしょう。
■ 資金を使う
- M&A
- 株主還元
- 設備投資
- 借金返済
- 人材育成 など
■ 資金を残す
- 将来への投資に備えるため
- 市場環境の変化に備えるため など
ステークホルダーが納得する、効果的な資金運用を目指しましょう!
【アーカイブ|損益計算書】
- 1|売上高 企業規模が分かる、業績の好不調が分かる
- 2|売上原価 自社の商材を提供できるカタチにするまでにかかったコスト
- 3|売上総利益 商品・サービスの力や付加価値が分かる
- 4|販売費及び一般管理費 経営や組織運営に関するほぼすべてのコスト
- 5|営業利益 事業・ビジネスモデルの力が分かる
- 6|営業外収益・営業外費用 金融取引ならびに本業以外の取引に関するコスト
- 7|経常利益 金融取引を含めた会社全体の力が分かる