ROAとROICで投資効率を評価!リターンの最大化を目指して、保有資産の有効活用に取り組む
【財務分析|第5回】

ROA|資産の改修、入れ替えは定期的に!遊休資産を作らず、利益を生み出す資産構成に
どのような業種、ビジネスモデルでも、何がしかの資産を活用して企業活動を行っています。メーカーであれば物を製造するための機械や設備、サービス業であれば商品を展示するための什器や備品など、保有する資産構成は各社さまざまです。
これらの資産が果たして利益を生み出しているか、どれだけ効率よく収益を上げているかを示す指標が、ROAです。日本語では総資産比率、または総資本利益率と呼ばれており、資産全体に対する事業の収益性、経営の効率性を検証することができます。
【計算式】
ROA=(当期純利益/総資産)* 100

ROAは高いほど効率的に稼げている、と評価され、一般的には5%以上を目指すとされています。
無駄な資産を持たず、投入する資源を効率的に活用して利益に繋げられている企業ほど、高いROAになっています。
■ ROAを高めるアプローチ
- 使わない資産は処分する
- 節税対策はほどほどに
- ムダな経費を削減する
- 借入金を返済する など
企業活動を継続させる、成長させるための投資は必要不可欠です。但し、無駄な投資になっていないか、資産と利益のバランスをコントロールできているかなど、経営効率の良し悪しは定期的に検証しなければなりません。
特に、一定のタイミングで大規模な設備投資が必要となるメーカーなどの業種では、一時的にROAが低くなることがあります。金融機関から借入れをして固定資産へ投資をしても、売上や利益を計上するまでにはどうしても時間がかかるため、この期間のROAは低くなってしまうのです。
一時的なROAの低下は致し方ないため、その内容をしっかりと検証すること。そして、その後に利益を生み出しているかを中・長期的にチェックするようにしましょう。
経営者の立場であれば、投資内容、投資金額、投資のタイミングなど、資金の使い方を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
ROIC|投下した資本がどれだけ利益を生み出したか、ROE、ROAと合わせて使われる指標に
Return On Invested Capitalの略称であるROICは、投下資金に対してどれだけの利益を生み出すことができたかを示す指標です。投下資本利益率と呼ばれ、ROE、ROAと並んで財務分析で使われています。
【計算式】
ROIC={営業利益×(1-実効税率)}/(自己資本+他人資本)* 100

ROICの計算式には、税引後の営業利益、自己資本と他人資本の合計額が用いられています。すべての投下資本(株主からの出資、金融機関からの借入金など)に対して、どれだけ利益を作り出すことができたのかを示す指標として、活用されています。
一般的には、7%が良し悪しの基準とされています。少ない投資で多くの利益を生み出す商品やサービス、事業は今後も注力すべき分野として、低採算の分野は縮小や撤退と判断することができます。
株主や債権者からの調達コストに対する収益力を測定できる指標として、ここ最近はROICを活用する企業が増えてきました。
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財務分析は計算が目的では無い!どのように読み解くか、未来への道筋を描けるかがポイント

財務分析は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書に掲載されている数字をベースに行います。その指標は多数あるため、実務においては得てして計算することが目的となりがちです。
- 現状を定量的に把握する
- 現状を踏まえた将来像を描く
分析結果をどのように読み解くか、そして、今後の施策は何をすべきかを考えることこそ、ビジネスパーソンとして付加価値を提供する場面と言えるのではないでしょうか。
財務分析はそのための重要な一ステップとして、適宜適切に活用できるように会計の知識とノウハウのブラッシュアップを図りましょう!
【アーカイブ|財務分析】
- 1|営業利益率 ビジネスモデルの優劣を検証する
- 2|固定比率 財務の安定性、資産の健全性を検証する
- 3|ROE 株主からの出資を有意義に活用できたか検証する
- 4|回転率 現場の動きや効率性、生産性を検証する