【キャッシュフロー計算書|第1回】

お金があって経営は成立!

一年間のお金の流れが一目瞭然!キャッシュフロー計算書で、資金繰りの良し悪しをチェック

会社の設立、継続は、お金が無ければ成し得ることはできません。言い換えれば、手元の資金が枯渇しない限り、会社が倒産することはありません。

手元にどれだけの資金を確保できているかは、企業経営において極めて重要なポイントです。商品やサービスの提供を通じて手元資金を毎年増やせている会社は、経営は順調である、と評価して間違いは無いでしょう。

このようなお金の流れ(結果)を数字で表された財務資料が、キャッシュフロー計算書です。項目ごとに一年間の入金額、出金額の合算が掲載されており、会社全体の資金繰りの良し悪しを評価することができます。

■ キャッシュフロー計算書の掲載ルール

  • +の場合|一年間の入出金の結果、資金が「流入超過」の場合
  • -の場合|一年間の入出金の結果、資金が「流出超過」の場合

まずは入金がプラス、出金がマイナスで計上されるルールであることを理解しましょう。この前提を踏まえて詳細を見ていくと、インパクトの大きな「お金の流れ」を見つけることができるようになります。

キャッシュフロー計算書の特徴と役割とは?!3つの企業活動に関するお金の流れが分かる

3つの活動でお金の流れを整理!

キャッシュフロー計算書は、上場企業に対して2000年3月期から財務諸表に新しく追加することが義務付けられました。国際会計基準に合わせた措置で、貸借対照表、損益計算書と合わせて財務三表と呼ばれています。

お金の流れに注目した財務資料という位置付けで、とても重要な役割を担っています。

■ 客観性が担保されている

  • 社外と何がしかの取引を行う場合、必ず金銭のやり取りが発生します
  • 金銭のやり取りは相手の財務諸表にも掲載され、入出金の事実や金額を誤魔化すことはできません
  • 銀行振込によるやり取りであれば通帳にも記載されるため、キャッシュフロー計算書の金額は客観性が担保されています

■ 利益と現金を繋ぐ

  • キャッシュフロー計算書は、損益計算書の数字をもとに作成されています(間接法の場合)
  • 最終的には期末の現預金残高が計算され、その金額は貸借対照表の現預金と同額になります
  • よって、キャッシュフロー計算書は損益計算書(利益)と貸借対照表(現金)を繋ぐ役割を担っています

■ 黒字倒産を見破れる

  • 具体的なお金の流れを知ることで、会社全体の資金の増加や減少が一目瞭然に分かります
  • 利益が出ていても、入金が無ければ資金は枯渇し、倒産してしまう可能性があります
  • 黒字倒産を見破る材料として活用することができます

尚、キャッシュフロー計算書は3つの企業活動に区分して、お金の流れが掲載されています。

営業活動、投資活動、財務活動の3種類で、企業経営にとってそれぞれが重要な活動であると言えるでしょう。

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売上高の計上と実際の入金にはタイムラグ!利益が出ていればOKではない

損益計算書による収支とキャッシュフローベースによる収支では、その内容は異なります。売上として計上するタイミングと、実際に入金のあるタイミングに時間差があることがその原因です。

入金が滞れば、日々の資金繰りを直撃します。資金繰りが悪化すれば、仕入代金の支払いや給与の支払いが遅延し始め、最悪の場合は銀行取引の停止、倒産へと至ってしまいます。

より多くの利益を生み出し、しっかりとお金に結び付いているかどうかが、企業経営の本質的な評価となるでしょう。

  • 入金に遅れはないか?
  • 不必要な出金はないか?

キャッシュフロー(お金の流れ)は必ず確認を!

■ 損益計算書による収支|健全な経営に見えるが…

  • 売上高 200
  • 売上原価 150
  • 売上総利益 50
  • 販売費及び一般管理費 30
  • 営業利益 20

■ キャッシュフローベースによる収支

  • 売上高 0 | 売上高の計上と同時に入金は無い場合
  • 売上原価 150 | 商材は提供しているので、原価は支払い済み
  • 売上総利益 ▲150 | 入金は無く、出金超過の状況でマイナスに…
  • 販売費及び一般管理費 30 | 経営、運営に関する日常的なコストは支払い済み
  • 営業利益 ▲180 | 利益は出ていても入金が無ければ、資金繰りは窮す…
資金繰りは経営を直撃!

企業は手元資金が枯渇してしまう前に、どうにかして資金調達しなければなりません。融資を得るか、出資を得るか、手段を選んでいる暇はなく、資金繰りを安定させることを喫緊の課題として取り組まなければなりません。

資金の出し手は、健全な経営に対して資金を提供したいと考えるのが一般的です。そのため、自社の経営を良く見せるために、健全な経営を装う違反行為をしてしまう企業が現れてきます。

いわゆる粉飾決算と呼ばれるもので、資金調達のため、ステークホルダーが離れないようにするため、実際とは異なる数字を決算書に掲載して事なきを得ようと画策しています。

粉飾決算は一度でもしてしまうと、元の正常な数字に戻すことはできません。

  • 入金は早く!
  • 出金は遅く!

経営者は日常から資金繰りに目を配り、手元資金の最大化を目指して経営に取り組みましょう。

【アーカイブ|キャッシュフロー計算書】

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